退屈な一日
17/7/2026
ある朝、目が覚めてみると、世界が途方もなく退屈な場所になっている。
穏やかな春の日が差して、朝食を摂っただけで、もう微睡むようなそよ風が吹いて、昨日は土曜日だったというのに、国中見渡しても誰も殺されていなくて、事故すら一件も起きていない。
スチュワート島の猫が増えすぎてキィウィ鳥たちが危険だ、というニュースが流れている。
中東の海峡では大型船が我が物顔で行き来していて、軍隊はムダだというので、将軍たちは、深刻な顔で、政府に軍事支出を維持させる会議を開いている。
ガザでは、子供たちがフットボールで遊べる、瓦礫のない、小さな空き地がそこここに生まれていて、イスラエルのミサイルが貫通していった、教室の壁のおおきな穴には吹き飛ばされた黒板の代わりに、以前のものより少しだけおおきい黒板がかけ直され、宿題を忘れたユースフが、先生に怒られて項垂れている。
テヘランの広場では、鹿爪らしい顔で、白いシャツがだらしなくはみ出していることに気づいていないワーエズの姿を見て、後列の3人の少女たちが、太陽に輝く黒髪を風に揺らせて、こらえきれずに、下を向いて笑っている。
新聞記者たちは、書くべきニュースがない。
いっそ、オークランドでは最近、無謀な道路の渡り方をする猫が増えた、というトップラインはどうか、と編集会議で若い記者が述べている。
首相は、また少し禿の面積が広がった、というのはどうですか?
いや、それでは肉体的な欠陥をあげつらう差別になる。
困りましたね。
どこを探しても、ニュースになりそうな出来事がないのだもの。


