ガメ・オベール JamesJames

超限戦理論から見た2027年台湾・対中危機

15/2/2026

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ガメ・オベール JamesJames
Feb 14, 2026
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2027年は中国人民解放軍(PLA)建軍100周年で、現在、中国では「能力整備」のマイルストーンとなっている。

独裁者の心中は誰にも判らないもので、いろいろな憶測が飛び交うと決まっているが、習近平も例外ではなく、世界中で誠実な人、ハッタリ屋、しかつめらしい顔で不勉強な「専門知識」を述べるもの、様々だが、どの人の心中にある本音も、ほんとうはひとつで、「判らない」というだけのことでしょう。

確かに判っていることは、2027年がPLAにとっておおきな「宿題提出」の年で、それが理由のすべてではないとしても、習近平からしたら、いま色々に取り沙汰されている大規模で徹底的な粛軍も、つまりは「2027年にまともな結果が得られない」見通しに不満だったことが最大の理由なのかも知れません。

1999年、人民解放軍のふたりの上級大佐喬良と王湘穂が「超限戦」と訳されるUnrestricted Warfareを著します。

いまに至るまで、「三戦」思想とは異なって、人民解放軍が公式戦略思想として認知したことはなくて、西側からの観測では、「中堅将校のあいだで人気が有る風変わりな戦略思想」くらいで「影響はおおきいようだが、どの程度の影響があるのか把握がむずかしい」という程度にしか判らないので、

「中級よりはおおきい軍事思想的影響を与えている」くらいですませているようですが、現実には公式軍事思想である「三戦」と同程度か、あるいは、それよりもおおきい影響を与えている、と考えられる理由があって、その根拠については、おいおい書いていくことになると思われる。

歴史に詳しい人はハインツ・グデーリアンがドイツ国防軍に与えた「Achtung - Panzer!」の影響に似ている、と言えば、判りやすいかも知れません。

この戦史に有名なドイツのBlitzkriegを支えた戦術理論は、おおきな影響を与えるどころか、欧州全域をナチの支配下においてしまったが、「超限戦理論」の軍隊のなかでの「人気」の在り方は、このグデーリアンの理論に似ている。

一方、「三戦」は2003年に人民解放軍政治工作条例で公式化された中国の公式軍事戦略で、読めば判るが、実際には超限戦理論のうち公式化しても差し支えがない部分を纏めたものだと見なせる。

簡単に比較しておきます。

超限戦:

A 軍事・非軍事の全領域(経済、金融、サイバー、文化などの25領域)

B 軍事非軍事で境界をつくらない全手段で敵を制圧、非均衡的勝利を目指す

C 広汎で革命的な新戦争論としてPLA将校たちに非公式に大きな影響を与えている

三戦:

AA 主に非軍事:輿論戦(世論操作)、心理戦(抗戦意志の粉砕)、法律戦(法理的優位の確立)

BB 認知領域での有利な地歩の獲得による軍事作戦の準備と支援

CC PLA公式ドクトリン、南シナ海などで、すでに実践に移されている

A-AA B-BB C-CCの対応を見れば判るとおり、つまり三戦は広汎な広がりをもつ超限戦の戦略集合のうち、中国共産党が対外的に公式化しても差し支えがないと判断した部分集合を成していて、「良い子ちゃん版超限戦」だと見なして良さそうです。

もちろん、PLAのみならず中国共産党の、ひいては独裁者習近平オヤビンの胸中にある本音も、超限戦そのものに他ならない。

2027年に中国が武力衝突に踏み出すかどうかを判断するためには、この超限戦の枠組みのなかで「武力侵攻」が、どういう位置を占めているかを見るのが最も確実です。

中国政府とPLAの言動と、それに対するアメリカと欧州のインテリジェンスの分析を読むと、最も固い底の部分にある事実としては2027年は「2027年、即開戦」ではなく「軍事能力目標(その年までに侵攻絶対勝利の態勢を完遂する目標)」として設定された年で、その事実を指してアメリカ情報当局トップが、習近平はPLAに「2027年までに成功裏に侵攻できる準備を指示した」と述べた趣旨が、2027言説の実体であるようです。

したがって、2027年に武力衝突が起こるかどうかは、

(1)中国の政治判断(アメリカとの軍事衝突のリスクを勘案したコスト対効果、成功する確率の計算)

(2)米日台の抑止と備え、意外と重要な「防衛意志の固さ」、すなわち「やる気」の本気度

(3)偶発・誤算の発生 特に空軍および海軍の現場将校の挑発行動

(盧溝橋では牟田口廉也が独断で戦火を起こしたのでしたね)

また日本の人が見落としがちな点としては、台湾の防衛予算(増額の遅れが特に注目されている)は、PLAの侵攻抑止の実効性に直結する論点としてアメリカ太平洋軍からは強く意識されている。

歴史的に述べて無理もない、というか、中国側の観点である超限戦という前提を失念して、旧来の「戦争」概念に囚われがちなアメリカと日本は、やや、

「ready by 2027と will invade in 2027は別」という考えに引きずられているが、ここから中国の超限戦思想の有利が導かれていることには、まだ気付いていない。

簡単にいえば米日の戦争思想は、中国から見れば古いもので、戦争経済の在り方も含めてプーチンの欧州侵略の大戦略構想とウクライナ戦争で試された実践を深く研究した中国は、自信を深めているところでしょう。

歴史上におなじような状況を認めると、最も近いのは、古い軍事思想に拠って、ドイツのBlitzkriegに、戦前の予想に反して、あっけないほど簡単に敗れ去ったフランスであるとおもわれる。

さて、ここからが本題。

超限戦思想に立って2026年の状況と2027年危機の展望を見直すと、起きていることはかなり明らかです。

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