火の薔薇 バルセロナの悪魔 その6 コギトと神霊
25/7/2026
アルコールは言語を溺れさせる。
時間は流れの均一性を失い、意識は渦巻く濁流になって論理を呑み込む。
いったい目の前に戻った男と話しているのか、自分に話しているのかも判然としなくなりかけながら、わたしはいつのまにか
ふざけて「美人はなぜ美人なのか」について話していた。
男の妙な生真面目さに気押されて、冗談が言いたかったのだと思う。
会話を通常の範囲に止めておく分別がアルコールのせいで、どこかへ行ってしまっているので、酔っ払いらしく、脳の地の言葉、生の言語が声になって出て行く。
ところが、男は、驚くべきことに、その社会性を全く欠いた言葉を、平然と会話の言葉として受け止める能力を持っていた。
Langlois と Roggmanが、十分に大きな数の顔を合成した「平均顔」が個々の顔より魅力的に評価されることを示したのは1990年のことだった。


