草書とマヨネーズ
9/8/2026
子供のころ、「ヤムヤムソース」の存在を知らないので不思議がられたことがある。
だって、きみ、日本にいたことがあるんだろう?
してみると、日本人は、あんなにおいしいものを自分たちでは使わないで輸出専用にしているのだろうか。
ヘンな奴らだな、相変わらず、
と述べて船室に入って、「あったあった」という声とともに持ってきたのを見ると、「キューピーマヨネーズ」でした。
あっ、これなら知ってる。
日本の人たち、これをただマヨネーズとだけ言うんだよ、と教えてあげると、60フィート艇を走らせながら、「海の人」のおっちゃんは、
なんだか手の中でプラスチックのフンニャリボコボコした容器をひねくりまわしながら、
「マヨネーズってのは瓶に入っているものだろう」と、得心がいかない様子だったのをおぼえている。
1990年代も後半だったが、そのころはUKでもNZでも「マヨネーズ」は、
Hellman’sやBest Foodsの、といって、ふたつは同じ会社だが、おっそろしく不味い瓶入りが圧倒的で、隠れファンはたくさんいたとおもうが、
キューピーや味の素のマヨネーズは、パチモン扱いで、
後で、New Worldやなんかに並び始めたときも、マヨネーズの棚にはなくて、新しい支店を中心にポツポツとできはじめた「アジア食品コーナー」に、寿司に使う海苔や簀の子と、これはいま考えてもなぜなのか判らないが、八丁味噌と並んで、ひっそりと、白人至上主義のひとびとの白い視線を憚るように並んでいた。
欧州のたいていの特産品とおなじように、「うちが起源です」
「いーえっ!初めに考えたのは、わし国です」
「なあに言ってんだ、このまねっこ民族めが、うちらが発明したのだと、ほれ、この本にも書いてあるわい!」
と、わしが発明したんだもんね、の自己主張が繰り広げられているが、
マヨネーズも例外ではなくて、フランスとスペインが激しく「おいら起源説」を主張しているが、両方に滞在してみて、生活実感と風土とで判定すると、マヨネーズは、多分、スペイン起源のソースです。


